常に創意工夫を続け、料理の花を咲かせます。
歴史を根に、技を幹に
三方山に囲まれた京都は海にほど遠く新鮮な海の幸は手に入れ難いものでした。それでも貴族や粋人や、諸国より来る客人を唸らせる味を求められ、ゆえに技術は磨かれて美味の数々が生まれました。
淡味操る精進料理。御所ゆかりの有職料理。趣深い茶の湯の嗜み。
千年の都で栄えた食の文化の粋を集め心で咲かせる料理。それが京料理なのです。
「伝える」ではなく、「伝わる」ように
かつて季節の川魚を扱う生簀料理店が軒を並べた高瀬川のほとりに、昭和三年「たん熊」は誕生しました。まさに、現在の「日本料理」が確立しつつあった時代のこと。
創業者、栗栖熊三郎が包丁一本で暖簾を掲げて以来、両千家をはじめ谷崎潤一郎先生、吉井勇先生などの文人墨客、その他皆様方のお引き立てをいただきながらも、ただ漫然と伝統をいまに伝えるのではなく、むしろ伝統に溺れず、心に伝わるお料理を心がけてまいりました。